環境
環境への取り組み
気候変動
気候変動に対するJLFの認識
近年では猛暑や大雨などの極端気象が多く発生するようになったため、気候変動はますます環境・社会、人々の生活や企業活動に大きな影響を及ぼすこととなっています。
気候変動に関する最新の科学的知見についてとりまとめた報告書である「気候変動に関する政府間パネル第6次評価報告書(IPCC AR6)」によれば、極端気象の要因ともなる気候の温暖化が進んでおり、人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がなく、広範囲にわたる急速な変化が、大気、海洋、雪氷圏及び生物圏に起きているとされています。
2015年パリ協定に代表される温室効果ガス削減の枠組みが加速し、気候変動への取り組みは国・政府だけではなく、民間セクターが果たす社会的な責任として期待されています。
パリ協定においては、地球の平均気温の上昇を2℃より十分下方に抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求することなどを目的としており、この目的を達成するため、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収のバランスを達成することを目指しています。また、COP27においては「緩和作業計画」に1.5℃目標達成の重要性が盛り込まれ、各国が目標達成に向けた取り組みを強化することとなりました。こうしたことは、今後数十年にわたる社会経済活動の方向性を根本的に変える可能性を有しています。
パリ協定の下、世界全体での今世紀後半の脱炭素社会に向けて世界各国は動き出しています。日本を含む世界の主要国は、世界全体での今世紀後半の脱炭素社会の鍵となる省エネルギーの徹底や再生可能エネルギーの大幅な拡大を進めると同時に、地球温暖化対策と経済成長の両立を模索しています。国内外の有力企業は、気候変動をビジネスにとってのリスクと認識しながら、ビジネスチャンスとも捉え、様々な先導的な取組を進めています。
こうした認識のもと、JLF及びMLPは、温室効果ガスの排出削減等の取組みを通じた低炭素社会の移行に貢献するとともに、気候変動に伴う自然災害等への適応に取り組んでいきます。
JLF及びMLPは、JLFが取り組むべきESGに関わる重要課題(マテリアリティ)を特定しており、その中で「気候変動への対応」を認識しています。
気候変動への対応については、TCFD提言に基づき、詳細に分析し戦略を策定しています。
<主な目標(KPI)>
scope1.2のGHG排出量削減目標:
・2030年度までに42%削減(2021年度比)
・2050年度までにネットゼロ
TCFD賛同表明(およびTCFDコンソーシアムへの参加)
気候変動に関する方針や取り組み内容に関する情報開示の拡充を通じて、投資主をはじめとするステークホルダーの皆様との対話を促進し、協働しながら継続的な改善を図ることを目的として、JLFが資産運用を委託するMLPは、2021年7月にTCFD提言への賛同を表明し、国内賛同企業による組織である「TCFDコンソーシアム」に参加しています。
TCFDは、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討する目的で設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース」です。気候変動を世界経済にとって深刻なリスクとし、企業等に対して「ガバナンス」「戦略」「指標と目標」「リスク管理」について把握・開示を推奨する提言を公表しています。
また、TCFDコンソーシアムは、TCFD賛同企業や金融機関等が一体となって取組みを推進し、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取組みについて議論する目的で設立された組織です。
JLF及びMLPは同提言に基づく気候変動に係るリスク管理や取り組みを推進し、情報開示していきます。
推進・監督体制「サステナビリティ推進体制」の「環境管理システム(EMS)」に記載のとおり、ESGの取組みについてサステナビリティ推進連絡会、資産運用会社の代表取締役社長及び取締役会へ報告し、議論を行っており、「気候変動」への取り組みも「環境管理システム(EMS)」の中で運営・管理しています。
ガバナンス
JLFの資産運用会社であるMLPでは、「ESGに関する取り組み指針」を定め、気候変動を含むサステナビリティ推進活動に関する事項を定めています。「サステナビリティ推進連絡会」では代表取締役社長をサステナビリティ推進統括者とし、財務企画部が運営・管理します。
概ね3ヶ月に一度、定例会を代表取締役社長、各部担当役員、各部部長、各部担当者が参加のうえ開催し、社会情勢や本投資法人の運用状況を踏まえながら、サステナビリティに関する方針や目標、各種取り組みの推進を行っています。
また、「サステナビリティ推進連絡会」ではESGに関わる重要課題(マテリアリティ)の特定、KPI(行動計画・目標)の設定、管理をしており、取締役会への報告を行っています。
「サステナビリティ推進連絡会」の概要を含むサステナビリティ(気候変動への対応を含みます。)に関する推進体制は、「サステナビリティ・マネジメント」をご参照ください。
戦略
JLF及びMLPでは気候変動に伴うリスクと機会の特定、シナリオによる分析を行える体制を構築し、年に1度リスクと機会の見直しを行っていきます。また、その際、気候変動の進行に伴う不確実性をビジネス戦略に考慮するため、1.5℃上昇シナリオ下と4℃上昇シナリオ下に分けて行いました。
JLFが2024年3月に実施したシナリオ分析の詳細は以下の通りです。
<シナリオ分析の対象範囲>
JLFが保有する全物件を対象としました。
<参照したシナリオ>
公表機関・組織 | 1.5℃シナリオ | 4℃シナリオ | |
---|---|---|---|
移行リスク | IEA (国際エネルギー機関) |
IEA World Energy Outlook2023 NZE | IEA World Energy Outlook2023 STEPS |
物理的リスク | IPCC (国際気候変動に関する政府間パネル) |
IPCC 第6次報告書 SSP1-1.9 | IPCC 第6次報告書 SSP5-8.5 |
<JLF及びMLPがシナリオを元に考える世界観>
【1.5℃シナリオ】
1.5℃シナリオは、脱炭素社会を実現するための厳しい規制及び税制等が実施されることで、温室効果ガスの排出量が削減傾向となり、産業革命前の水準からの気温上昇が1.5℃となるシナリオ。
CO2排出の抑制を目的とし、日本においても高額な炭素税の導入により、保有物件から排出されるCO2への課税や、省エネ基準等の環境規制の強化により、その対応にかかる改修等、運用コストの増加が想定される。また、規制の強化は、テナントの物件選択に影響を与えることが想定され、競合物件との比較において省エネ性の低い物件需要の減少も予見される。加えて、そのような物件を多く保有している場合には、投資家やレンダーからの資金調達コストが増加する恐れがある。一方、気候変動による災害の激甚化や増加が一定程度抑制されるなど、物理的リスクは相対的に低いと推測。
【4℃シナリオ】
4℃シナリオは、気候変動対策のための厳しい規制及び税制等が実施されず、温室効果ガスの排出量が増加を続け産業革命前の水準からの気温上昇4℃程度まで上昇するシナリオ。自然災害の激甚化、海面上昇や異常気象の増加による保有物件の修繕費の増加や平均気温の上昇による水道光熱費の増加等が想定されるなど、物理的リスクは高まり、BCP対応が優れた製品・サービスの競争力は高まる。一方、政府による規制強化がなされないなど、移行リスクは低いと推測。

<気候関連リスク・機会と対応策>
不動産運用に おける関連 (ドライバー) |
当ファンドへの財務的 な影響(JLFの課題) |
時間軸 | リスク管理、対応策、 取組み (戦略:機会/方針) |
KPI/目標 | 財務的 影響 4℃/1.5℃ |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
移行リスク | 政策と法 |
・エネルギー規制(報告義務含む)の強化 ・炭素税(カーボンプライシング)導入の可能性 |
・報告に対応するための設備導入、外部業者への支払など事業経費の増加 ・再エネの導入、改修工事等将来の規制対応コスト増大 ・物件のGHG排出量に対する税負担の増加 |
中期 |
・エネルギー規制対応に向けて、テナント/PM会社とのエンゲージメントを強化 ・GHG排出量削減を目指して、省エネ・創エネ対応/電力切り替え等の検討 |
・scope1.2のGHG排出量削減目標: ・100%のテナントに対しESG勉強会の実施(毎年1回) ・全PM会社へのESG勉強会の実施(毎年1回) |
小 | 大 |
テクノロジー |
・再エネ・省エネ技術の進化・普及への対応の遅れ及びそれに伴う物件競争力の低下 |
・賃料価格の相対的な見劣りや空室率上昇による賃料収入の減少 |
中期 |
・物件競争力の強化を図るため、高環境性能設備の導入を検討 |
・外部認証取得時における省エネ施策の検討 |
小 | 大 | |
市場 |
・環境性能の低い施設へのテナント需要及び資産価値の低下 |
・環境性能の低い施設での賃料下落、空室率の増加による賃料収入の減少、NOIの悪化/資産価値の低下 |
短期 |
・テナントと協働した環境貢献を目指して運用および設備改修の両面からグリーンリースの導入を推進 |
・2024年度末時点のグリーンリース契約対応率70% ・2025年度末時点のグリーンリース契約対応率70%※2023年度設定時中長期目標 ・100%のテナントとESGに関する意見交換の実施(毎年1回) |
中 | 大 | |
評判 |
・気候変動リスク未対応の市場参加者の調達条件悪化 |
・気候リスクによる資金調達コストの増加 |
短期 |
・ESG投資を重視する機関投資家による投資機会増を企図して、グリーンファイナンス等を検討 |
・2024年度末時点のグリーンビルディング認証取得割合90% ・2025年度末時点のグリーンビルディング認証取得割合90%※2023年度設定時中長期目標 |
中 | 大 | |
物理的リスク | 急性 |
・激甚化する台風・洪水被害リスク |
・修繕費・保険料の増加 |
短期 |
・物件競争力の向上のためBCP対応を強化 |
・事業継続性に係る取り組みを1件実施 |
大 | 中 |
慢性 |
・気象パターンの変化や海面上昇等による被害リスク |
・大規模改修費用の発生 |
中期 |
・物件競争力の向上のため気象パターンの変化に応じた物件の計画的な修繕工事の実施 |
同上 | 中 | 中 |
<分析結果>シナリオ分析を踏まえた戦略・取り組み(機会内容含む)
1.5℃シナリオでは、物件の環境性能向上に対する投資を実施しない場合、市場からの評判が低下し、テナント退去等資産運用へのインパクトが大きくなるリスクがあることから、既存の電力契約の切り替えに加え、グリーン電力証書購入など、あらゆる再生可能エネルギーの調達方法を検討します。また、省エネルギーや創エネルギー対応など、エネルギーの高効率化を目指します。
一方、4℃シナリオにおいては、異常気象の激甚化により災害対応力の高い不動産が競争力を有すると推測されますが、JLFが保有する物件は災害対策・安全面で競争力を有していると考えており、引き続き現状の取り組みを継続するとともに、さらに高いレベルでの対応を実施することで、市場での競争力維持・向上を図り事業のレジリエンスを高めていきます。
リスク管理
JLFおよびJLFが資産の運用を委託するMLPにおいて、気候関連リスクについて、「地球温暖化対策に関するリスク」として認識しており、代表取締役社長を中心とするサステナビリティ推進連絡会において、気候関連リスクの特定およびそのリスク管理方法等について議論しています。
運用資産の新規取得にあたっては、デューデリジェンスプロセスのなかで、気候関連リスクに対する各種調査を踏まえたうえで、投資委員会の審議を経て取締役会にて投資判断を行っています。具体的には、対象物件の洪水・冠水の可能性につき、各種ハザードマップによる浸水レベル等を調査しています。また、取得後はサステナビリティ推進連絡会において、気候変動リスクを含むサステナビリティに関連したリスク全般の管理、モニタリングを実施しています。
MLPでは、取締役会が統括するリスク管理規程に基づき、各部毎に年に一度、各業務におけるリスクの洗い出し・モニタリング・評価を行っており、適宜その状況が取締役会へ報告されています。気候関連リスクにおいても各部における業務に応じてリスク項目が選定・評価されており、必要に応じてリスク軽減策を検討することとなっております。
目標と指標
リスクの軽減または機会の実現に向けた取り組みに当たっては、可能な場合、KPI(重要指標)を定義し、その管理のためにモニタリングおよび目標設定を行います。それ以外でも、気候変動への適応と緩和に向け、必要と思われるKPIの追加を検討してまいります。
KPIとして定めているGHG排出量に関する目標、実績推移は以下の通りです。
<GHG排出削減目標>
scope1.2のGHG排出量削減目標:
・2030年度までに42%削減(2021年度比)
・2050年度までにネットゼロ
<GHG排出量実績>
項目 | 単位 | 2022年度 | 2023年度 | 増減 (2022年度比) |
増減率 (2022年度比) |
---|---|---|---|---|---|
温室効果ガス排出量(*1) | t-CO2 | 27,958 | 24,983 | -2,975 | -10.64% |
温室効果ガス排出原単位(*2) | t-CO2/㎡ | 0.019 | 0.016 | -0.002 | -12.32% |
scope1 | t-CO2 | 0 | 0 | 0 | - |
scope2 | t-CO2 | 753 | 623 | -130 | -17.26% |
非化石証書購入 | t-CO2 | 753 | 623 | -130 | -17.26% |
温室効果ガス排出量:非化石証書控除後 | t-CO2 | 0 | 0 | 0 | - |
scope3 | t-CO2 | 27,205 | 24,360 | -2,845 | -10.45% |
非化石証書購入(*3) | t-CO2 | 10 | 1 | -9 | -88.95% |
温室効果ガス排出量:非化石証書控除後 | t-CO2 | 27,195 | 24,359 | -2,836 | -10.42% |
- 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づき算定。排出係数は特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量の算定に関する省令に定める実績排出係数を毎年確認し適用。scope3はカテゴリー13を集計。
- 排出量は稼働率を考慮した建築基準法上の延床面積で除した数値。
- 非化石証書分はscope1、scope2の控除に優先的に使用し、余りがある場合にはscope3を控除しています。2022年度に購入した非化石証書は762t-CO2、2023年度に購入した非化石証書は624t-CO2です。非化石証書の購入量のt-CO2換算には全国平均排出係数を用いています。
- 各年の数値は持分に応じて算出されています。
移行リスクへの対応
I. 省エネルギー対応
既存の照明をLED照明に置き換えることにより、省エネルギー化や、照明の長寿命化に取り組んでいます。置き換えにあたっては、想定される削減電気使用量を事前にテナントと確認しており、電気料金削減効果の一部をJLFが賃料として収受する契約を締結している事例もあります。JLFは保有物件のLED化を推進していく方針であり、当初設定した目標である80%については達成しました。今後については、2030年度を目途に80%のLED化の維持を目指し、取得時よりも環境性能を高める取り組みを推進していきます。
①各種照明器具のLED化
(2024年1月31日時点)
LED化面積 | 2024年1月期実施工事による年間削減効果 |
---|---|
1,325,544.78㎡ (ポートフォリオの82.9%) |
115,304kWh |
-
事務所 -
倉庫内 -
倉庫内
②空調設備の更新
エネルギー効率が高い最新の空調設備に更新することで、省エネルギー化に取り組んでいます。
(2023年8月1日~2024年7月31日の実績)
更新台数 |
---|
22台 (保有物件設置台数の3.5%) |
II. 創エネルギー対応
太陽光パネルの設置
施設の屋上に太陽光パネルを設置し、再生可能エネルギーを利用して発電しています
(2023年度実績)
設置物件数 | 年間発電量 |
---|---|
12物件 | 6,262,701kWh |
- 年間発電量は、計測できた数値を記載しています。
III. グリーンリース
テナントとのESGの取り組み・グリーンリースの締結
JLFが保有する物件で省エネを実現するためにはテナントの皆様の協力が必要不可欠です。
JLFでは、環境への取り組みについてテナントの皆様と協働しています。具体的な取り組みは、エネルギー及び水の消費量に関する情報のテナントとの共有、省エネルギー、節水、ごみの分別・削減、アイドリングストップ等の呼びかけを行っております。また、保有物件の一部(横浜町田物流センター)では、物流施設内に専用のタブレットを設置し、太陽光パネルによる発電量の見える化に取り組むことで、テナント企業の環境への意識向上を促しています。
また、建物所有者とテナント双方で、省エネルギー・環境への配慮や、物件の快適性の維持、向上に努めることを定めるグリーンリースも一部テナントと締結しています。
グリーンリース実施割合(2024年3月31日時点)
テナント数 | ポートフォリオ面積割合 |
---|---|
48 | 69.5% |
テナント向けESG勉強会実施割合(2023年度実績)
テナント数 | ポートフォリオ面積割合 |
---|---|
77 | 100% |
物理的リスクへの対応
施設緑化(ヒートアイランド現象の緩和)
植物にはCO2吸収源や気温低減の効果があり、ヒートアイランド現象の緩和に重要な役割を担っています。
施設内緑化は、コンクリート構造物から発生する顕熱の減少、植物の蒸散作用等の効果で、大気の温度上昇の抑制に寄与し、ヒートアイランドの緩和に役立つと言われています。
気候変動への適応に関する取り組みの一環として、緑化の推進を行っています。物流施設の敷地内や建物の屋上を積極的に緑化しています。
浸水対策
台風やゲリラ豪雨時の浸水対策として、開発/再開発時に敷地のかさ上げを行うことで施設内への雨水の侵入防止策を図っています。
また高圧受電設備(キュービクル)の架台を高くすることで浸水を避け、施設内の電気系統トラブルの発生を防ぐなどの対策を行っています。
災害対応及び建物の安全性
資産運用会社(MLP)では、災害発生時の被害拡大の未然防止及び災害発生時の早期復旧を図るための取り組みを推進しています。
JLF及びMLPでは、物件の取得時にエンジニアリング・レポートを取得し、建物の遵法性、安全性にかかる診断を実施しております。また、保有物件についても定期的に継続エンジニアリング・レポートを取得し、建物の安全性の維持に努めています。
また、MLPでは、事業継続計画を制定し、災害発生時の被害拡大を未然に防止するとともに、災害発生時における事業継続の確保と通常業務体制への早期復旧を図るため、必要な社内体制を確立しています。併せて、災害発生時に迅速に保有物件の状況を確認するため、プロパティ・マネージャーを含めた連絡・確認体制を整備しています。
その他、一部物件において、停電時に使用できる自家発電設備の設置や、自家発電及び井水を利用し災害時でも使用できるトイレの設置をしています。
資源循環(節水・廃棄物量削減・生物多様性の保全・土壌汚染対策)
節水
水資源に関する環境認識と基本方針
水資源及びその持続可能な利用は、JLFの事業活動及びその持続可能性においても必要不可欠な要素であると認識しています。こうした認識のもと、JLFは、事業活動のなかで適切な量の利用を徹底するとともに、利用効率の改善、消費量の削減に取り組みます。JLFにおいては水消費原単位について、2018年度比較で増加させないことを目標としており、各テナントにするESG啓蒙活動等を通じて、節水に係る取り組みを推進していきます。
①トイレ設備の節水化
節水効率が改善された最新のトイレ設備・水栓に更新することで、節水に取り組んでいます。
②節水機器の導入
生物多様性の保全
①屋上緑化、壁面緑化、緑地帯の設定、在来種の保護
JLFは、施設(屋上、壁面)の緑化、緑地帯の設定を積極的に実施し、温度上昇(ヒートアイランド現象)の抑制と地域景観の確保を図っています。また、在来樹種を活用した緑地とすることで、生物多様性の保全に貢献しています。
廃棄物管理
保有物件から排出される廃棄物量を最小限化する取り組みを推進し、廃棄物の発生量をモニタリングし、適切な管理を行っています。
また、JLFが保有する物件では、施設利用者にゴミの分別、リサイクルの推進を積極的に呼びかけており、廃棄物リサイクル率については高水準を維持することを目標としています。
土壌汚染対策
保有物件については、取得時に土壌汚染の調査を行っております。
また、協同企業との開発物件においても、土壌汚染等の問題のある土地に対して対策を行ったことを確認したうえで、物件の開発を行っています。
例えば、首都圏エリアでのパートナー企業との協同開発においては、当該開発用地が工場跡地であったことから工場で使用していたと想定される化学物質が土壌から検出されました。
人体への影響等は軽微であるものの法令で定める基準を超えていたため、土地の売主が化学物質を除去し第三者機関・自治体の確認・了承を得たことを確認したうえで物件の開発を行っています。
遊休地となった場合、土壌汚染が滞留したままになるところ、JLFがパートナー企業と物流施設の開発を行うことで地域の環境改善に貢献しています。
保有資産のグリーン化方針(グリーンビルディング認証の取得、施設のグリーン化)
JLFは、気候変動に代表される環境課題の解決がJLFの持続的な事業活動とその実現に向けた事業戦略において重要な経営課題であると認識しています。こうした認識のもと、JLFは、低環境負荷物件への投資(開発・再開発を含む)と、保有物件の運用における環境・省エネルギー対策等を通じたエネルギー利用の効率化に取組み、低環境負荷ポートフォリオの構築を目指しています。また、取組みを推進させるため、グリーンビルディング認証の取得割合をはじめ、環境配慮を意識した投資(開発・再開発を含む)・運用のためのKPIを設定しています。
目標(KPI)
グリーンビルディング認証の取得
保有物件のグリーンビルディング認証取得割合(建築基準法上の延床面積ベース)については、以下を目指します。
2024年度までに90%まで向上
2025年度までに90%まで向上
認証種別 | 年度 | ポートフォリオ面積割合 |
---|---|---|
CASBEE不動産評価認証 | 2024年度までに | 90% |
BELS認証 | 2024年度までに | 45% |
- 2025年度のKPIは2023年度設定時の中長期目標
なお、保有物件のグリーンビルディング認証取得割合(建築基準法上の延床面積ベース)については、以下の通りです。
グリーンビルディング認証取得割合(2024年10月1日時点)
認証種別 | 物件数 | 建築基準法上の延床面積 (㎡) |
ポートフォリオ 面積割合 |
---|---|---|---|
CASBEE不動産評価認証 | 42 | 1,213,348.74 | 80.6% |
BELS認証 | 20 | 625,561.85 | 41.5% |
CASBEE建築(新築)評価認証 | 1 | 41,968.06 | 2.8% |
グリーンビルディング認証取得割合 | 46 | 1,320,588.72 | 87.7% |
- 複数の認証を取得している物件があるため各認証種別の数値を合計しても「ポートフォリオ面積割合」の数値とは一致しません。
上記のうち、上位2ランクの認証取得割合(2024年10月1日時点)
認証種別 | 物件数 | 建築基準法上の延床面積 (㎡) |
ポートフォリオ 面積割合 |
---|---|---|---|
CASBEE不動産評価認証 | 39 | 1,143,056.75 | 75.9% |
BELS認証 | 20 | 625,561.85 | 41.5% |
CASBEE建築(新築)評価認証 | 1 | 41,968.06 | 2.8% |
グリーンビルディング認証取得割合 | 43 | 1,250,296.73 | 83.0% |
- 上位2ランクとは、CASBEE不動産評価認証におけるAランク~Sランク、BELS認証における4つ星~5つ星、CASBEE建築(新築)におけるAランク~Sランクをいいます。
- 複数の認証を取得している物件があるため各認証種別の数値を合計しても「ポートフォリオ面積割合」の数値とは一致しません。
グリーンフィールド開発におけるグリーンビルディング認証の取得
JLFでは保有物件の再開発(OBR)のほか、事業パートナーと協同して物流施設の開発を行っています。グリーンフィールド等の未利用地での開発を行うこともあるため、環境への配慮を企図して再開発・開発を行った物件についてはグリーンビルディング認証を取得する方針です。
グリーンビルディング研修と資格取得
CASBEE評価員の有資格者がMLPに在籍しているほか、担当部署の従業員に対する勉強会を実施しており、グリーンビルディング認証に関する知識を深めています。
施設内緑化対応物件の割合
保有物件の敷地緑化に対応している物件の割合は100%であり、2030年度までの中長期目標として引き続き100%を維持していきます。
環境パフォーマンスデータカバー率の割合
環境パフォーマンスデータのカバー率は100%であり、2030年度までの中長期目標として引き続き100%を維持していきます。
LED化率
JLFは保有物件のLED化を推進していく方針であり、当初設定した目標である80%については達成しました。今後については、2030年度を目途に80%のLED化の維持を目指し、取得時よりも環境性能を高める取り組みを推進していきます。
節水
水消費原単位について、2018年度比較で増加させないことを目標としており、各テナントにするESG啓蒙活動等を通じて、節水に係る取り組みを推進していきます。
廃棄物管理
JLFが保有する物件では、施設利用者にゴミの分別、リサイクルの推進を積極的に呼びかけており、廃棄物リサイクル率については高水準を維持することを目標としています。
テナントへのESG啓蒙活動
環境負荷軽減においてJLFが保有する物流施設を使用するテナントの協力は不可欠と考えています。テナントが環境への配慮を意識して電気・水使用、廃棄物処理を行うことで保有物件の環境負荷軽減の取り組みが一層推進できるとJLFでは考えています。
具体的な取り組みとして、環境配慮に関するちらし・パンフレットの配布や、ESG勉強会をJLFの運用会社であるMLP職員がテナントに対して実施しています。
MLPでは2030年度までの中長期目標として毎年100%のテナントに対してパンフレットの配布、ESG勉強会の実施をすることを目標としています。
グリーンビルディング認証の概要
CASBEE不動産評価認証
CASBEE不動産評価認証とは
CASBEEは、国土交通省の主導のもと、日本で開発・普及が進められている建築物の総合的な環境性能を評価するシステムです。CASBEE不動産評価認証はCASBEE-不動産で評価された建築物について、その評価内容を審査し、的確であることを第三者機関が認証する制度で、評価は4段階(Sランク:★★★★★~Bランク:★★)で表示されます。CASBEE評価認証の内容等については以下をご参照ください。
*CASBEE評価認証に関するウェブサイト:
https://www.ibec.or.jp/CASBEE/certification/certification.html
CASBEE不動産評価認証取得物件一覧
評価 | 物件名 |
---|---|
S | M-11 八千代物流センター |
M-37 藤沢物流センター | |
T-2 大阪福崎物流センター | |
A | M-3 平塚物流センター |
M-4 新木場物流センター | |
M-5 浦安千鳥物流センター | |
M-6 船橋西浦物流センター | |
M-9 習志野物流センター | |
M-12 横浜福浦物流センター | |
M-13 八千代物流センターⅡ | |
M-16 東雲物流センター | |
M-17 習志野物流センターⅡ | |
M-18 市川物流センターⅡ | |
M-19 草加物流センター | |
M-21 柏物流センター | |
M-22 武蔵村山物流センター | |
M-23 柏物流センターⅡ | |
M-24 新子安物流センター | |
M-25 三郷物流センター | |
M-26 相模原物流センター | |
M-27 千葉北物流センター | |
M-28 千葉北物流センターⅡ | |
M-29 浦安千鳥物流センターⅢ | |
M-30 座間物流センター | |
M-31 新木場物流センターⅡ | |
M-32 横浜町田物流センター | |
M-34 白井物流センター | |
M-35 戸田物流センター | |
M-38 羽生物流センター | |
M-39 埼玉騎西物流センター | |
M-40 加須物流センター | |
M-42 板橋物流センター | |
T-3 清須物流センター | |
T-7 福岡箱崎ふ頭物流センター | |
T-9 福岡香椎浜物流センター | |
T-10 春日井物流センター | |
T-11 高槻物流センター | |
O-1 前橋物流センター | |
O-6 石狩物流センター(2号館、7号館) | |
B+ | M-20 辰巳物流センター |
M-36 市川物流センターⅢ | |
T-5 小牧物流センター | |
O-6 石狩物流センター(10号館) |
BELS認証
BELS認証とは
BELS認証とは、建築物の省エネルギー性能を表示する第三者認証制度です。2016年4月より、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)において、不動産事業者等は建築物の省エネ性能を表示するように努めることが求められています。具体的な表示方法は、建築物の省エネ性能表示のガイドラインに定められており、BELS認証は同ガイドラインに基づいて評価され、その評価は5段階(★~★★★★★)、2024年4月以降は7段階(レベル0~6)で表示されます。
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、快適な室内環境を保ちながら、高断熱化・日射遮蔽、自然エネルギー利用、効率の高い設備により、できる限りの省エネルギーに努め、太陽光発電等によりエネルギーを創ることで、年間で消費する建築物のエネルギー量が大幅に削減され、エネルギー収支ゼロを目指した建築物です。BELS認証の評価制度において、その評価は『ZEB』、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Orientedの4段階で表示されます。
なお、BELS認証及びZEBの詳細等については、以下をご参照ください。
*BELS認証制度に関する運営サイト (https://www.hyoukakyoukai.or.jp/bels/bels.html)
*環境省 ZEB PORTAL サイト (http://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/01.html)
BELS認証取得物件一覧
評価 | 物件名 |
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5つ星『ZEB』 | M-41 久喜物流センター |
5つ星 ZEB Ready |
M-2 浦安物流センター |
M-6 船橋西浦物流センター | |
M-11 八千代物流センター | |
M-13 八千代物流センターⅡ | |
M-17 習志野物流センターⅡ | |
M-19 草加物流センター | |
M-21 柏物流センター | |
M-22 武蔵村山物流センター | |
M-26 相模原物流センター | |
M-27 千葉北物流センター | |
M-30 座間物流センター | |
M-34 白井物流センター | |
M-37 藤沢物流センター | |
T-3 清須物流センター | |
T-10 春日井物流センター | |
T-12 愛西物流センター | |
5つ星 | M-15 市川物流センター |
M-42 板橋物流センター | |
T-7 福岡箱崎ふ頭物流センター |
CASBEE建築(新築)評価認証
CASBEEE建築(新築)評価認証とは
建物の環境性能を評価し格付けするもので、省エネや省資源・リサイクル性能といった環境負荷削減の側面に加え、室内の快適性や景観への配慮も含めた建築物の環境性能を総合的に評価するシステムです。
CASBEE 建築(新築)評価認証取得物件
再開発後の浦安物流センター、再開発後の八千代物流センター、市川物流センターⅡ及び横浜町田物流センターにおいて、CASBEE建築(新築)評価認証Aランクを取得しています(なお、八千代、市川Ⅱ及び横浜町田について、取得日から5年が経過したため現在有効期限切れとなっています。)。
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浦安物流センター
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八千代物流センター -
市川物流センターⅡ -
横浜町田物流センター